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  • 執筆者の写真小川紀美代

ほぼ週間ゴルド通信vol.11 2018.3.11*番外編

あの日から7年。

私はあの地震を、経験していません。

約一年間移住していた札幌では、緩くて長い、なんだか不吉な揺れを感じただけでした。

しかしこの10日後、東京に戻ることになっていて、引越し先も決まっていたのです。

まさか、こんなことになるとは思ってもいませんでした。


楽器を含む荷物も無事到着し、引越しができただけでも奇跡的でした。

しかし、3月末からのコンサートは10本以上キャンセルになり、レッスンも休業状態。

1年東京を離れただけでも仕事が激減していたのも加えて、「これからどうやって生きていこう」と目の前が真っ暗でした。

頼んでいた布団すら届かず、薄い寝袋一枚で何にもない部屋で過ごしていたのを思い出します。


東京はもうダメだ、なんでこんな時に戻ってきたのかといろんな人に言われ、実際、演奏家家業を一時中断したり、東京から他の地方に移住して行く友人たちも多くいました。

でも、東京に戻って生活を立て直し、また一から音楽をやり直したい!という気持ちは、変わりませんでした。


その反面、なんだか全てがリセットされたような気分でもあり、急にポッカリ空いた時間が妙に嬉しかったり、楽天的なところはありましたが(笑)。


そんな中、「好きなことを、いまやらねばいつやるのだ!」という、強いモチベーションを持った生徒たちが戻ってきました。

余震が続く中、みんなでスタジオに集まって練習しました。

これが今の蛇腹隊の始まりで、この時の光景は今でも忘れることができません。

音楽は、すごい力を持っている。と心底感じました。


その年の10月から昔からゲストで呼んでいただいていた、福島県川俣町で開催されている音楽祭、コスキンフェスティバルに生徒たちを連れて行くようになりました。

その年は開催も危ぶまれた川俣コスキンですが、自分たちが率先して福島に行き、一生懸命演奏するということが復興につながると信じ、また、貴重な演奏の場をいただくことで、生徒たちも急激に成長して行きました。


そして2017年、小川紀美代と蛇腹隊は川俣コスキンの日本代表審査会で優勝し、みんなで本場アルゼンチンのコスキンフェスティバルに出演、アルゼンチンの旅に出かけました。

川俣で頂いたチャンスは、みんなの一生の思い出になったと思います。

そして私自身は、この時のご縁とブエノスアイレスのアミーゴたちの計らいで伝説のマエストロ、アニバル・トロイロのお孫さんと知り合い、先月のブエノスアイレスでの録音、CD発売、そしてトロイロのバンドネオンを迎えての10月の日本公演、と夢が膨らんでいます。


震災が残した傷は今も大きく、お亡くなりになられた方、行方不明の方、いまでも苦しんでいらっしゃる方はまだまだたくさんいらっしゃいます。

合掌いたします。


そしてまた、


生き残った人。

立ち上がった人。

諦めなかった人。

何かしら、気づきを得た人。


最悪で悲惨な出来事でしたが、この出来事が人生のターニングポイントになった方は、多いのではと思います。


この日のことは、忘れずに。

前を向いて、歩いていこう。


そんなことを毎年、感じる日です。


今日は代々木上原のMi Choripanでライブです。

こうして元気に演奏していることに、心から感謝!


今回もゴルド通信、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

Hasta Pronto!!!



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